2021年1月から始まる新しい大学入学共通テストをめぐって、紛糾する事態が生じた。NHKによれば、記述式問題の採点者に、学生アルバイトを含めることを文部科学省が認めたという。機械採点のできない記述式に1万人の採点要員が必要だからだ。
これに対し、入試の公平さが保証されるのかという批判が相次いだ。採点者が誰であれ、採点にズレが生じることは避けられないが、その採点者に学生アルバイトが含まれるという突っ込みやすい問題が加わったのである。
文科省に実施を見合わせるそぶりは見えない。今回の改革には「高等学校に対し、『主体的・対話的で深い学び』に向けた授業改善を促していく大きなメッセージになる」(文科省)という意図が込められているからだ。「思考力・判断力・表現力」を記述式で評価することで、知識の詰め込みに終わらない能力の育成が期待される。
だが、昨年実施された試行テストの国語の問題例を見ると、その期待に応える問題作成がいかに困難かがわかる。問題の狙いの「解説」には、読んだテキストを踏まえて「発展的に自分の考えを形成する」力を測るとある。だが、ここでいう「自分の考え」とは、読んだテキストの的確な言い換えにすぎない。
したがって、そこで求められる思考力も正答主義の域を出ない。自分の個性や主体性を発揮した答えが求められるわけではないのだ。表現の的確さが基準だとすれば、そこで生じる採点者間のズレは、なるほど公平性への信頼を揺るがすことになる。
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