小さな政府や自由貿易といった米国保守主義の理念を放棄したトランプ大統領は、保守派内部を混乱させ、奇妙な現象を引き起こしている。そうした現象について、折あるごとに本欄で触れてきた。今回は「リフォーモコン(reformocon)」と呼ばれる改革派保守の動きに触れたい。
リフォーモコンは、小さな政府など従来の保守理念に基づく政策の下で実質所得減などに直面し、不満を募らせていた白人労働者らをターゲットに動き出した運動だ。
もともと民主党支持だった白人労働者らは、1980年代のレーガン政権時代に大挙して共和党支持に回った(いわゆるレーガン・デモクラット)。リフォーモコンは彼らの経済的不安や不満が、人種対立的な怒りとなって発散される危険を懸念した。そうした事態になれば、黒人だけでなく中南米系も含めた人種的少数派がますます共和党を離れる。いずれ人口の多数派となる彼らを離反させたら共和党の未来はない、とリフォーモコンは考えた。
2016年の大統領選挙を前に、彼らは保守政治の改革を訴えた。人種的少数派も含めた労働者階級全体の経済的不安・不満に応えるため、共和党の中道化を図ろうとした。
リフォーモコンはそうした方針に沿って、社会福祉、医療保険、教育などの政策提言を盛り込んだ冊子『成長への余地』を発表する。この改革派集団にはニューヨーク・タイムズ紙の保守派コラムニスト、デイビッド・ブルックスやロス・ダウサットらが加わって知的に支援した。リフォーモコンが支持し支援した大統領候補はマルコ・ルビオ上院議員であり、次いでジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事であった。リフォーモコンの運動にはジェブの兄ジョージ・W・ブッシュが大統領時代に提言した「思いやりのある保守主義」の考え方も反映されていた。
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