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イノベーションの構造変化 自分のアイデアを世に出すコストが低下

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【今週の眼】柳川範之 東京大学大学院教授
やながわ・のりゆき●1963年生まれ。慶応義塾大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

今年前半の話題をさらった映画『ボヘミアン・ラプソディ』。ご存じ、クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの生涯を描いた作品だが、その中にデモテープを作成するためマイクロバスを売って資金を集めるシーンが出てくる。当時は、自分の曲のアイデアを多くの人に聴いてもらうのも、簡単なことではなく、かなりの資金が必要だった。

それに対して現在では、誰でも簡単に自分の楽曲をユーチューブなどで公開できるようになり、(もちろん、必ずというわけではないが)それが誰かの目に留まって、あっという間に世界的なチャンスにつながることも夢ではなくなった。つまり、自分のアイデアを世に提示するコストはかつてに比べて大幅に低下し、またそれが人の目に触れる機会も、インターネットの発達などによって大幅に拡大しているのだ。 

この変化は、さまざまなところで起きている。自分が書いた文章を世に問うには、かつては新聞や雑誌で取り上げられるか、本を出すしかなく、かなりハードルが高かった。しかし、今ではブログやSNS(交流サイト)を通じて、簡単に出すことができる。

変わったのは、ネットの世界だけではない。ものづくりにおいても、メーカーフェアと呼ばれるイベントが近年、日本でも増えてきたように、個人やベンチャー企業がアイデアを具体化し商品化するコストは大幅に下がってきた。

これは、大きな流れでいえば、イノベーションを起こす構造が、大きく変わったということだ。

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