マクロ経済に関する数字が、経済の実態を把握するうえで重要なことはいうまでもない。しかし、それが意味するところをよく理解していないと、場合によっては誤った認識を持ってしまう可能性もある。
なぜなら、マクロ的な数字は、複雑な経済活動を集計して作られたものだからだ。例えば、最近は人手不足が叫ばれているが、当然、すべての産業、すべての業務で人手不足が生じているわけではない。実際には、人材の種類によって需給は大きく異なってくる。
物価上昇率にしても、国全体の物価上昇率と同じ率で価格が上がっている財が多くあるとは限らない。例えば物価上昇率がゼロだったとしても、すべての財の価格が同じだったとは限らず、極端にいえば10%値上がりした財と10%値下がりした財が半々だったかもしれないのだ。
しかし、物価上昇率ゼロと聞くと、大抵は、「ほとんどの製品の値段は変わっていないのだ」と感じてしまう。これは、いわゆる平均のわなだ。
同様に、国全体の成長率だけを見ても、それが各地域の成長率の実態と同じとは限らず、地域によって当然大きなばらつきがある。
これらの点は、言われてみれば当たり前に近いことで、多くの人が、それはそうだ、と思うような理屈だろう。しかし、実際にマクロの数字を目にしてしまうと、このような実態上のばらつきの可能性をしばしば忘れてしまいがちだ。
さらに悪いことには、その結果として、実際には存在しないマクロ実態に対する処方箋を実行してしまったりする。
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