平成経済の歩みをまとめる仕事に注力していたのだが、ようやくその成果が『平成の経済』(日本経済新聞出版社)として出版された。この考察の中でいくつかの不思議な点が浮かび上がってきた。主に次の5つである。
第1に、日本では「○○緊急対策」が頻繁に登場することだ。私がカウントしたところでは、平成を通じて31回もの経済対策が決定されている。ほぼ1年に1回だ。
これだけ頻繁に登場する(すべてが緊急対策と銘打っているわけではないが)ということは、緊急事態の基準が緩すぎるのではないか。またその多くは財政支出を伴うから(財政出動なしの対策もあるが)、安易な歳出増大につながってしまったのではないか。
第2に、なぜこれほど「円高恐怖論」が蔓延するのだろうか。なぜか日本では円高になると、経済的に打撃が大きいと大騒ぎになる。その議論はかなり一方的で、「円高は必ずしも困ったことではない」などと言うと袋だたきに遭いそうな勢いである。
これに、デフレ脱却という政策目標が加わると、円高は物価下落要因となるため、円高恐怖論はさらに強力になる。円高の評価は多様なのであり、例えば私は経済の実力が向上して円高になっていくのがベストだと考えている。日本の議論はあまりにも一方的だ。
第3に、なぜ多くの人々はこれほどまでに消費税を嫌うのだろうか。さまざまな機会で世論を問うと、「税率引き上げ反対」「引き上げを延期せよ」さらには最近では「引き下げまたは廃止」という意見まで支持されている。このため消費税は、政治的にも極めてセンシティブな問題となり、とくに選挙になると与野党ともに税率の引き上げを打ち出すことをためらう。
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