東京証券取引所の進める市場区分見直しでは、マザーズから1部へと昇格する際の時価総額基準の低さも論点の1つだ。株主数や流通株式比率などの基準もあるとはいえ、時価総額基準が40億円以上となっていることが「質の伴わない1部企業」の増えた原因だと指摘されている。
直接1部に新規上場しようとすると250億円以上の時価総額が求められる(2012年に500億円から引き下げられた)。それに対し10億円以上で新規上場できるマザーズを経由すると、1部には40億円以上で昇格できる。
もちろん1部に「近道上場」しても、その企業が期待どおり成長しているのなら問題はない。
そこで、マザーズから1部へと昇格した172社の時価総額を調べてみた。すると時価総額が50億円以下の企業は全体の約1割に当たる23社あった。マザーズから1部に昇格する際の最低基準(40億円)を下回る企業は9社だ。1部に昇格してさらなる飛躍を遂げたのではなく、むしろ衰退や停滞の危機に直面している企業といえる。
時価総額の最も小さいボルテージは、携帯コンテンツで提供する女性向け恋愛ゲームに強みを持つ企業だ。10年6月にマザーズ上場、翌年6月には1部へとスピード昇格した。
しかし昇格時に106億円だった時価総額は、昨年末時点で26億円。津谷祐司会長兼社長は、「直近は赤字だったのでその(低い)時価総額だが、60億~70億円で長く推移してきた。今後はしっかり業績を上げることで、市場にも評価してもらえるようにしていきたい」と弁明する。
ただ企業側だけを責めるのも酷な話だろう。50億円未満の企業には1部昇格までの期間が3年以内のスピード昇格組が多い。ボルテージも当時としては史上最短で1部昇格を果たし注目を集めた。それらの企業の背中を押したのは、40億円で1部に昇格できることをアピールしていた東証やベンチャーキャピタルだとの指摘がある。
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