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毎月勤労統計問題はなぜ起きたか 信頼性揺らぐ基幹統計

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  • 佐藤 主光 一橋大学大学院経済学研究科教授
【今週の眼】佐藤主光 一橋大学教授
さとう・もとひろ●1992年一橋大学経済学部卒業、98年加クィーンズ大学博士号(経済学)取得。2009年から現職。専門は財政学。政府税制調査会委員なども務める。著書に『地方税改革の経済学』『地方財政論入門』、共著に『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』など。(撮影:梅谷秀司)

わが国の基幹統計の信頼が揺らいでいる。厚生労働省の「毎月勤労統計」(以下、勤労統計)で不適切な調査があった。

勤労統計は賃金や労働時間、雇用の動向を把握するため毎月実施され、対象は常時5人以上を雇用する全国約3万3000の事業所である。調査結果は雇用保険や労災保険の給付額の算定のほか、統計法上、政府の基幹統計として、内閣府の月例経済報告、国内総生産(GDP)や景気動向指数の算出など幅広い分野で活用される。

しかし、従業員500人以上の大規模事業所については全数調査しなければならないところ、東京都内で約1500事業所のうち500事業所程度しか実際には調査していなかったという。サンプルに偏りがあると賃金などの実態が正しく出てこない。

実際、都内の大企業の賃金は比較的高いことから、これらが集計から抜け落ちた結果、2012〜17年の給与額の公表値は本来より平均して0.6%程度低かったとみられている。

厚労省によれば、これによる雇用・労災保険の過少給付は総額567億5000万円余り、対象者は延べ約2000万人に上った。給付額の修正は一部を負担する国の予算にも影響を及ぼしそうだ。

この勤労統計をめぐっては別の問題も指摘されている。昨年1月に調査対象となる企業を半分ほど入れ替えた。しかし、新たにサンプルに加わった企業の賃金が平均的に高かったため、給与総額の伸びが一昨年の1%未満から1〜3%まで高まり、これを用いたGDPでの雇用者報酬を押し上げる一因になったという。

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