足元では、景況感や株価が揺らぎ、市場はリスクを意識し始めたようだ。ハイイールド(投機的格付け)債市場のみならず投資適格債市場のスプレッド(国債との利回り差)も拡大しつつあり、これは2019年半ばに向けてじわじわと進むと見ている。
理由はいくつもある。第一に、先進国の中央銀行が金融緩和を続けたことによる流動性相場は、終わりに近づいている。第二に、リーマンショック後10年の節目に当たり、信用サイクルは最終局面にあるとのおそれやバブルは必ず崩壊するとの知識から、投資家はスプレッドの縮小は限界に来たと見ている。第三に、米中貿易戦争の過熱により実体経済への下押し圧力が増している。加えて、最近のアップル株など個別株の下落は、投資家がクリスマス前にポジションの整理を行っていることだけが理由ではなく、米国トランプ政権の次なる対中報復措置を懸念している面がある。さらに、欧州をめぐる市場の地合いも悪化している。
現時点ではクレジット市場は崩壊に至っていない。VIX(ボラティリティを示す。恐怖指数とも)も異常値にならず、流動性もなくなってはいない。また、仮に景況感の急速な悪化、株価の大暴落が生じれば、中央銀行は金融政策の正常化をやめて、金融緩和というタガをしっかりはめるだろう。そうなれば、足元の動揺もプチクラッシュに終わり、再び市場はのらりくらりとした展開になる。
それでも、クレジット市場崩壊の足音は近づいている。今後、注意すべきポイントを述べたい。
第一に、米中貿易戦争の過熱化が思いも寄らない帰結を迎えるリスク。たとえば米国が、中国の対米輸出のうち現時点まで関税引き上げの対象となっていない残り2670億ドル分まで対象とした場合には、中国のGDP(国内総生産)成長率は5%を割り込む可能性が出てくる。中国への影響が大きくなれば、新興国には打撃となる。
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