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「中立金利」という概念への疑問 FRBは市場の「過剰な意識」に違和感

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  • 森田 長太郎 オールニッポン・アセットマネジメント執行役員/チーフストラテジスト、ウォールズ&ブリッジ代表
もりた・ちょうたろう●慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

10月以降の世界的な株安を受けて、米国金利市場では来年に向けてのFRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げの経路について織り込みの修正が生じている。先物金利などから算出してみると、12月はほぼ実施確定、との見方で変わらないが、来年については、10月初めまでは2回強だったものが現在は1回強という織り込みになってきている(1回0.25%ずつの想定)。

2回強であれば、FRBが公表している四半期ごとの金利水準を示すドットチャートの「2.9%」が意識される。「中立金利」と言われるこのFOMC(米国連邦公開市場委員会)メンバーによる予測平均値を、ここまで米国債市場は強く意識して推移してきた。一般的に中立金利は、長期的にインフレ率が目標水準で安定し、成長も持続するような経済の均衡状態を実現する金利水準とされる。そのため、これを超えると引き締め効果をもたらすとの見方が多い。

しかし、そもそもこの中立金利なるものに対する市場の「過剰な意識」に対して、FRBは違和感を持ち始めているように見える。このところ、パウエル議長をはじめFRBの幹部の中から、「中立金利に近づいているが、中立金利自体は明確にはわからない」といった意見が聞かれるようになってきた。

「中立金利自体は明確にはわからない」という見解は、二つの意味を含んでいると考えられる。一つは、現在、市場が「中立金利」だと見ているものが、あくまでも各FOMCメンバーによる予測の平均値にすぎないということである。つまり、「平均値が、正しい中立金利に一致する保証はない」ということである。

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