中国がいずれ景気後退入りするのは避けられない。では、これによって世界経済はどのような影響を受けるのか。国際通貨基金(IMF)は、米国が深刻な景気後退局面に陥った場合ほどには、直接的な影響は世界に広がらないとしている。残念ながら、こうした見方は甘すぎるかもしれない。
まず、中国が国際的な金融市場に与える影響を過小評価している。企業業績の先行きに対して、世界の投資家はただでさえ神経質になっている。そこで中国が景気後退入りすれば、投資家心理は一気に悪化する。世界で最も多くの最終消費財を輸入しているのは今でも米国とはいえ、中国での販売が落ち込めば中国以外の国の企業収益も大打撃を被ることになるからだ。
投資家の間では、金利上昇への懸念も広がっている。金利上昇で消費や投資が鈍るだけでなく、個別企業の株価が下がる。中国の景気後退はこうした状況をさらに悪化させかねない。
ケインズ経済学では、ある地域で景気後退が起きると世界の総需要が減り、世界金利は低下すると考える。こうした理論は私も心得ているが、現在の状況に直接当てはめられるわけではない。というのも、米欧の実質金利がここ20年間、低いレベルに留め置かれてきたのには、アジアの高貯蓄率が大きく関係しているからだ。
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)元議長はこれを「世界的な貯蓄過剰」と呼んだ。中国の景気悪化がアジア全域に波及すれば、低金利を支えてきたカネ余りが巻き戻され、世界の実質金利は低下するのではなく、反対に上昇する可能性がある。中国の景気悪化が第2のアジア通貨危機の引き金となり、各国の外貨準備高が急減する事態となれば、なおさらだ。
つまり中国で景気後退が始まった場合、世界の金融市場がダブルパンチに見舞われる可能性があることは容易に想像がつく。中国への輸出が鈍化し企業業績が悪化するだけでも痛手なのに、おまけに金利までハネ上がったとすれば、まさに踏んだり蹴ったりだろう。
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