米中貿易戦争の長期化が予測される中、8月20日に上海総合指数が2016年1月以来の安値水準を記録するなど、中国で急速な株安と元安が進んでいる。
こうした動きは15年夏から16年頭にかけての「チャイナショック」の再来を予想させ、中国経済悲観論をあおる気の早い記事もちらほら出てきている。しかし、短期的な動きに気を取られ、問題の本質を見失わないように心掛けたい。

現在の急激な元安は、中国経済の減速が引き起こしたものというより、FRB(米国連邦準備制度理事会)が好況を背景に政策金利の引き上げを続け、米中の金利差が急速に拡大したことに起因する。
問題は、市場による元安圧力が金融政策の機動性を奪ってしまう可能性があることだ。「独立した金融政策」「通貨価値の安定」「自由な対外資本取引」の三つの政策に関しては、それらを同時に実現することは困難だという「トリレンマ」の関係が存在する。
これまで中国政府は、一帯一路の推進などを背景に対外資本取引が拡大する中、「人民元の国際化」を急ぐあまりに硬直的な為替制度を維持し、しばしば金融政策の独立性を失っていた。3年前の経済の変調が長引いたのも、トリレンマの存在により金融政策の独立性が失われたためだと考えられる。
中国の政策当局は16年から、主要通貨によって形成される通貨バスケットに人民元をペッグすることで元の変動幅を拡大するという方法で、この問題に対処した。しかし16年11月、米大統領選挙でトランプ氏が勝利し、米国の積極的な財政政策への期待とFRBの利上げ観測が高まると、中国政府は再び元安の急激な進行と資本流出への対策に追われることになる。
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