米中貿易戦争が激しくなる中、中国はどこへ向かうのか。米ハーバード大学シニアフェローのW. オーバーホルト氏は25年前の著書で中国が米国に並ぶ超大国になることを指摘していた。中国の政治、経済の専門家である同氏に今後の米中の動向について聞いた。
William Overholt●1945年生まれ。米イェール大学Ph.D.。米ランド研究所アジア部長などを歴任し、現職。95年に『中国・次の超大国』でアジア太平洋賞特別賞を受賞(撮影:尾形文繁)
強権政治はもう機能していない
──米中貿易戦争が長期化しています。背景をどう見ていますか?
米国経済は中国に対して開放的だが、中国経済は米国に閉鎖的だ。トランプ大統領はその貿易不均衡に着目したが、彼のばかげた経済への見方が貿易戦争の最大の原因だ。
貿易不均衡は、米国が自らの経済活動に必要とするものを中国からの輸入で賄っているために起きている。トランプ氏は大規模な財政出動を行っているが、財政出動で増加する需要によってさらに輸入量を増やし、貿易赤字を拡大させるだろう。
──米国全体で中国への警戒感が高まっているように見えます。
米国人の多くは中国のことをよく知らないが、南シナ海や人権問題での中国の行いに警戒感を抱いている。さらに習近平国家主席が抑圧的な支配を続けているのを見ると、危険で悪い体制だと懸念するのも当然だ。
貿易戦争が今後どうなるかは、誰にもわからない。おそらくトランプ氏自身も明確な考えを持っていないだろう。彼は中国が退けばいいと思っているが、そう簡単にはいかない。
中国も、米国が抱く懸念をぬぐい去る努力をすべきだ。たとえば、知的財産権の保護や閉鎖的なサービス業の開放などだ。これらの施策は中国自身が競争力を高めることにも寄与するはずだ。
今の中国は改革を求められるが、いかなる改革も難しく、痛みを伴う。早急な改革は経済成長に必ずしも好ましくない。むしろ経済成長を持続するためには漸進的な改革のほうがよい。習氏は「早急な改革と素早い経済成長を両立させる」と主張するが、現状はたいへん難しい状況にある。
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