習近平総書記の強権ぶりは中国国内においても批判されるようになっている。公の場で表立っては批判できないが、習氏への個人崇拝を助長する風潮には、知識人だけでなく一般の国民も拒否反応を示している。今年3月、国家主席としての任期制限を撤廃したのが転換点になった。
今年6月ないし7月、複数の党長老が連名で党中央に対し、「個人崇拝や左派的急進主義などの問題がある」との書簡を出したとの報道があるが、これは党内にも個人崇拝を懸念する声が出始めていることを示している。
習氏の政治手法が強権的だという見方があっても、それが正当化されてきた大きな理由は経済の成長が続いていたことだ。世界第2位の経済大国になり、多くの国民は豊かさを享受している。政治・経済強国を目指す「中国の夢」を掲げる習氏は国民に自信を与えた。自己主張を強め国威を発揚することによって、内部の矛盾を抑えようとするやり方だ。
ところが米トランプ政権の下で米中摩擦が激しくなるにつれ、中国世論は微妙に変化し始めている。中国では、対米関係をうまく処理できない指導者は批判にさらされる。今のような局面だと、米国を挑発したのは失敗だったという批判と、逆にあまりにも弱腰だという非難が両方出てきて、舵取りが難しくなっている。
今年、中国の大手通信機器メーカー・中興通訊(ZTE)が、米国の技術の利用を禁じられ、一時期は経営危機に追い込まれた。この事件は、自国の経済や技術は一流だと自負していた中国人にとって、そうとうショックだったようだ。「中国はこんなにもろかったのか?」という受け止め方だ。
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