
都内の大学に通うある中国人留学生はインスリンが正常に分泌されないⅠ型糖尿病を幼少期に発症した。インスリン注射が毎日必要だったが、両親は中国製の注射器を信頼できず、使わせなかったという。
2017年の中国の医療機器市場は213.5億ドル(約2兆4000億円、英BMIリサーチ)。右肩上がりの成長を続けているが、中国企業にとっては信頼性が高い壁となっている。
日本の2位メーカー・テルモで中国事業を担当する柴﨑崇紀(たかのり)上席執行役員は、「消耗品は中国ブランド、高度医療機器は外国ブランドという使い分けが、中国人医師の間で習慣になっている」と語る。
中国政府は15年に発表した産業政策「中国製造2025」で、重点10分野に「バイオ医療」を盛り込み、その中で医療機器の高度化についても言及した。中国ブランドの医療機器を普及するために補助金を支給。一部の地方政府は、現地の公立病院が医療機器を購入する際に行う入札で、一定の割合を中国メーカーに割り当てている。
中国の病院は提供する医療レベルに合わせて、3級、2級、1級(数字が大きいほど高度な医療を提供)に分かれる。政策により、3級の病院で中国製の高度医療機器を導入する例は増えているが、導入するだけで実際に使うのは外国製というケースもあるという。
テルモは中国で事業を展開するに当たり、12年に現地最大手の威高(ウェイガオ)グループと合弁企業を設立した。合弁企業に生産ノウハウを提供し、製品はテルモの名前も載せて販売している。外資の名前が入ると医師にも受け入れられやすいためだ。
この記事は有料会員限定です
残り 521文字
