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なお好転の兆しをみせない米中貿易戦争。筆者は小欄第84回で歴史の再現、ないしは継続かもしれないと記した。
もちろん過去にあった歴史事実が、そのままくりかえすことはありえない。人・国はもとより、そもそも時代が以前とは異なる。それでも類似性を感じ、既視感をおぼえるのは、やはり人間性・人間集団の性向というものが、時空を越えてもなかなか変わらないからなのであろう。
米中間では、ほんとうの争いの回避に向けて、協議を再開したらしい。中国が譲歩するとの予想が有力である。貿易や為替の情況・形勢からみて、さして意外とは思わない。しかし米国が中国の政府にいくら約束を強いたところで、民間・経済がそのとおり動くかどうか、予断をゆるさない。
典雅な英国・中国交渉
二百年以上前、英中貿易が紛糾したときにも、外交交渉はやはりそれなりにあった。最も著名なのは、18世紀の末、英国史上初の中国派遣全権大使に任じたマカートニー使節団である。
英国の当面の利害は、貿易取引のはずだった。しかし外交の体制変革とも不可分な問題だっただけに、交渉はすすまず、マカートニーのミッションはまったくの失敗に終わる。
その時のギャップは久しく埋まらず、半世紀の後にホンモノの戦争・アヘン戦争になった。干戈(かんか)を交えても、互いの齟齬(そご)は解消せず、さらに戦争をくりかえした歴史がある。
そして百年たち、英国領だった香港が中国にもどってきた。英中間の溝はそれでもなお、埋まっていないのかもしれない。
そんなかつての外交は、双方ともに貴族があつかっていただけに、内実はどうあれ、表面的には典雅だった。むしろ繁文縟礼(はんぶんじょくれい)というべきか、儀礼形式が勝っていたから、実務的にすすまなかったとみることもできる。
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