米国トランプ政権は去る7月6日、中国からの輸入品に25%の追加関税を課す制裁措置を発動、中国も同日、報復措置として米国製品に対する増税を発表した。米中のこうした応酬は、貿易戦争の様相を呈しながらも、なお互いに譲歩する姿勢を見せていない。
それぞれGDPが世界第1位・第2位を占める経済大国である。成り行き次第では、世界経済全体が大きな影響を受けかねない。
貿易不均衡の是正や知的財産権の保護など、一方的に割を食ってきた部分をとりもどすというのが、米国側の主張だった。もっとも、真意は別にある、とする説明も少なくない。半導体を中心とする中国のイノベーションを阻止し、情報技術と通信覇権を死守する狙いである。
習近平のいう「社会主義現代化強国」は、経済面のみならず軍事面でも、米国と肩を並べることが目標だから、その根幹に関わるハイテクの覇権争奪というのは、局面としてわかりやすい。だとすれば、半導体国産化を果たせていない中国は、多分に不利とみるのが大方であろう。
貿易戦争に勝てない中国
浮き世離れした歴史屋は、そんな最先端の動向にとても疎い。説明に納得するばかり、異論をさしはさむ余地も、ほぼ皆無である。ただ、中国がこの貿易戦争に勝てないといわれてみると、自分なりに思い当たる節もあった。
経済大国になった現代中国のプレゼンスは顕著であり、史上未曾有の事態に映るかもしれない。しかし旺盛なその貿易のありようには、既視感がつきまとう。
まず米国が真っ先に問題にした大幅な貿易赤字。2017年の米国の対中輸入総額は4300億ドル弱、輸出総額は1500億ドルあまりであった。厖大(ぼうだい)な中国の輸出超過であって、これはかつて18世紀後半、清代の英中貿易を髣髴(ほうふつ)させる。中国特産品の茶とシルクによる輸出超過だった。
米国に対する輸出超過が生み出すのが潤沢な外貨準備であって、成長を続ける中国経済の支柱になってきたのは周知のとおりである。食料もエネルギーも輸入に頼る中国は、外貨なくして安定的な供給がおぼつかないし、経済全体がたちゆかない。
これも18世紀の貿易で、同じことがいえる。輸出超過をもたらした恒常的な銀流入が、当時の好況ばかりか、為替レートの安定をも支えていた。逆にいえばその条件が失われては、経済が大きな変調をきたす。実際そうした歴史をたどったのである。
だとすれば、中国は18世紀も現代も、経済そのものが海外に、とりわけ輸出超過の貿易に依存していることになる。そして輸出超過になりがちな貿易もまた、中国経済の構造的な体質によっていた。つまり消費不足、高い自給率がもたらしたものであり、これも18世紀と現在で、共通する点である。
対外依存強い中国経済
経済構造の対外依存はおそらく、18世紀から一貫した中国経済の体質なのであり、したがって対外的な危機に陥ると、それが顕在化せざるをえない。19世紀のアヘン戦争は、英中の貿易摩擦の帰結だった。
まさか今回の貿易戦争が歴史のように、ほんとうの戦争に転化することはあるまい。しかし単なる経済問題ではないというのも、ハイテク・半導体の問題で明らかである。中国経済の対外依存は、やはり世界(史)全体の問題とみなくてはならない。






















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