6月9日、新幹線の車内で突然、刃物で女性が切りつけられ、それを止めに入った男性が死亡するという痛ましい事件が発生した。それから1カ月も経たないうちに、今度は富山市内の交番で勤務中の警察官が襲われ、拳銃を奪われただけでなく、その拳銃で警察官とたまたま付近に居合わせた方が発砲され、死亡する事件も発生した。
この手の事件が起きると、いつも「その場にいればな……」という気持ちになる。誰もケガさせずに犯人を確保できるとまでは言い切れないし、場合によっては自分が死亡してしまうかもしれない。それでも、被害を大幅に縮小させることだけはできると思うのだ。
今回の事件後は、知人、友人はもとより、テレビ、新聞、雑誌などから「ああいう場面に遭遇してしまったら、どうしたらいいのでしょうか?」という質問を数多く受けた。それは、どちらの事件も、犯人が被害者に強い恨みを抱いていたのではなく、たまたまその場に居合わせた人を襲っているからである。いわゆる通り魔的犯行なので、いつ自分が同じような目に遭うかもしれないと恐れる人が大勢いるのだ。
数年前、私は都内の路上で女性をメッタ刺しにしている最中の男に遭遇し、包丁を取り上げ、身柄を確保したことがある。そのときの感覚からいえば、それはそんなに難しいことではない。なぜなら、犯人が刃物を武器として使うちゃんとした教育を受けて、正しい知識があるわけでもなければ、人間を傷つける訓練を積み重ねているわけでもないからである。
それに比して私は、特殊部隊の創設時から、さまざまな教育を受けることで、知識と技術を身に付け、訓練を重ねてそのレベルを上げていった。さらに、特殊部隊を辞めて移り住んだフィリピンのミンダナオ島では、その技術を使って生き延び、また、使われて危険な目にも遭っている。
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