「刑事訴追のおそれがあるので証言を差し控える」。国会でのこうした証言拒否は1979年、自衛隊の戦闘機選定をめぐるダグラス・グラマン事件での証人喚問が初とされる。当時、事件関係者である証人の補佐人を務めた河合弘之弁護士に、自己負罪拒否特権(自分に不利な証言を拒む権利)について聞いた。
──3月27日の国会証人喚問で、佐川宣寿・前国税庁長官は「刑事訴追のおそれがあるので証言を差し控える」と50回繰り返しました。
刑事訴追のおそれを理由とした証言拒否は法的にはできることだが、社会的に許されるかどうかとは別問題だ。佐川氏は国家公務員時代の公務についての証言を求められていた。公務員は国民の奉仕者なので、公務として何をやったのかを言わなければダメだ。佐川氏の証言拒否は社会的にも政治的にも許されないと私は思う。
──なぜ「刑事訴追のおそれ」が証言拒否の根拠になるのですか。
ダグラス・グラマン事件では当時の検察が非常に強硬だった。国会の証人喚問で「記憶にない」と言えば、「ないはずがない」と偽証罪に問われそうな勢いだった。証言者のみならず、弁護士すら訴追されかねなかった。そこで、「刑事訴追のおそれ」を理由とした証言拒否を思いついた。日本国憲法には「自己に不利益な供述を強要されない」(38条)とあるし、議院証言法には「刑事訴追を受けるおそれのあるときは、証言を拒むことができる」(4条)とある。
──佐川氏は本当に刑事訴追を受けるおそれがありますか。
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