今年第1四半期(1~3月)の為替相場は円の独歩高となった。円は主要通貨の中で2番目に強かったノルウェー・クローネに対しても1%以上上昇し、主要10通貨中4番目に弱かった米ドルに対しては5%以上上昇した。円の名目実効レート(主要な複数の通貨の中での相対的な実力を見る指標)は4.0%上昇。これで5年連続して第1四半期は実効レートベースで円高となった。
1月に米国長期金利が急上昇し、2月に入ると米国株価急落を発端に世界的に株価が大きく下げた。そのため、投資家がリスク回避姿勢となり、円を買い戻す動きが広がった。このほか、米国トランプ政権が保護主義志向を強めたこと、トランプ政権内の人事の混乱、日本銀行が金融政策正常化に向かうとの思惑の台頭、森友学園問題に絡んだ安倍内閣支持率の急落などが市場の心理を急速に冷やしたことも円買い戻しにつながったと考えられる。
こうしたリスク要因は依然としてくすぶっているものの、第2四半期は円が反落すると予想している。そもそも世界経済は引き続き堅調である。米国政府の保護主義的な動きはじわじわとドル安に効いてくる可能性はあるが、とりあえず市場は消化した感があり、短期的なインパクトは小さくなってくるだろう。
一方、近年は日本企業による対外直接投資、日本の投資家による対外証券投資が活発化しており、大幅かつ継続的な円高は進みにくい環境となっている。新年度入り後、こうしたフローが円を押し下げる可能性が高いと見ている。
2017年のネット対外直接投資は16.4兆円と過去最大を記録した。アベノミクス下の12年以降5年間のネット対外直接投資は毎年10兆円を超え、年平均投資額は14.7兆円とその前の5年間の平均額のほぼ2倍近い水準となっている。対外直接投資はすべてが円売りを伴うものではないが、半分程度は円売りを伴っていると推測している。今年も対外直接投資はかなりの水準になりそうだ。
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