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ライフ #非常時の組織論

突破力を持つ超異質の人材を受容できるか 父を「合格」にした旧日本陸軍の度量

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「どうやっても開かないんだよ。時間も迫ってきたので、どうしようもないから、服を全部脱いで素っ裸になったさ」

これは、昭和2年生まれの私の父による陸軍中野学校時代の話である。そもそも背景の説明がほとんどなく、普通の人とかなり懸け離れた感性を持つ父の話は極めてわかりにくい。だから、家族であってもまともに耳を傾けているのは私くらいのものだった。物心ついたときから何度も何度も話を聞いてきたからこそわかるのであり、初めて父を知る人には理解不能である。

このときの話は、中野学校での鍵の解錠についての試験のエピソードだった。深夜2時までに三つの鍵で施錠してある真っ暗な地下の区画に侵入し、その中にある封書を持ち出せという課題が出た。

規定の2時が迫る中、どうしても残りの一つを解錠することができなかった父は、仕方なくあきらめていったん解錠した二つを再び施錠し、服を脱いで息を潜めたという。2時になると懐中電灯を手にした検定官がやってきて、父が再び施錠した二つの鍵を開けた。どうしても開かなかった鍵は、懐中電灯を床に置き、バールのようなもので破壊し始めた。そもそも開かない鍵だったのだ。ようやく破壊し終えた検定官は、扉を開けて床に置いた懐中電灯を手に取り、区画内にある封書を探した。

が、封書はそこにはなかった。裸の父が持ち去っていたからである。二つの鍵を再び施錠したのは検定官に怪しまれないためで、服を脱いだのは近くに潜んでいる自分の存在が服のすれる音で気づかれないようにするためだったという。父は鍵を壊し終えた検定官が懐中電灯を拾っているすきに区画内に侵入し、封書を持ち出したのだ。そうして解錠の試験を突破したそうだ。

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