毎年春になると、陸海空自衛隊の各施設には一目で新兵とわかる集団が現れる。彼らは個人行動が許されておらず、いつでも集団でいるからだ。
仕事を覚えるときだけではなく、食事や風呂など、すべて引率つきの集団行動をしなければならない。雑談などは論外で、隊列を作り、歩調を整え、号令をかけながら移動させられている。
どこの会社でも新入社員は研修を受け、中には学生気分を抜くために、厳しい試練を課せられる場合もあるだろう。
新入社員と自衛隊の新兵の決定的な違いは、新兵には出勤・退社がないことである。
彼らは、24時間ずっと職場(=部隊)にいる。職場で起床してから朝食を取り、仕事をする。そして、職場で洗濯をして、夕食を取り、眠りにつく。息抜きできるのは、テレビが一つ置いてある娯楽室にいるときくらいだが、それも時間が限られているし、決められた服装でいなければならない。
いかにも日本の軍隊的な、と感じられるかもしれないが、これは自衛隊だけの話ではなく、世界のどこの国の軍隊でも似たようなものなのだ。新兵は頭髪を短くされ、時間に追われ、服装をチェックされ、集団の缶詰め生活を送る。
そして、新兵生活の中で最も戸惑うのは、整理整頓や清掃に関しての病的な厳しさである。もともとは、集団生活を強いられる軍隊において伝染病を恐れ、清潔な生活習慣を身に付けさせるのが目的だった。だが、現代ではしつけの一手段として活用されている。
私が新兵だったときもそうだったし、幹部候補生になったときもそうだった。28歳になり防衛大学校の指導教官をしていたときは、逆の立場でそれを学生に強いたりもした。
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