特殊部隊員になるための教育(2年)が半ばを過ぎると、いよいよ特殊戦に関する教育が始まる。そこですべての学生は、小隊長(当時)である私の掌握下に置かれる。
学生が集まった初日の朝、私は毎年同じことを言っていた。
「おい! 朝飯食ったか?」
「はい!」
「何で食べたんだ?」
「えっ? お、お腹がすいていたので、食べました」
「おまえは家畜か?」
「……」
全員が緊張した面持ちで私を見ている。
「特殊部隊員になろうとしているんだろ? だったら今日から、おまえたちがやることすべての目的は、特殊部隊員になることだ。それができないというのなら、やめておけ。どうせなれない」
依然として緊張が続くが、彼らは爛々(らんらん)と目を光らせている。
「今からは、何をするにしても何となくするな。習慣や惰性や義務でするな。腹が減ったとか、時間になったからといって考えもせずに食事をするな。毎回、『特殊部隊員になるためなんだ』と、自分に言い聞かせながら食べろ」
「そうすれば、何をどうやって食べるべきかをおのずと考えるようになる。目覚ましをセットするときも同じだ。帰隊時刻に遅れるからじゃない。特殊部隊員になる訓練を受けるために起きるんだ。何時に起きるべきか、起きて何をするべきかが決まってくる」(自衛隊では、ベースが自宅ではなく部隊だから「出勤」ではなく、「帰隊」と言う)
やる気ゼロになる原因
私が特殊部隊員を目指す彼らのモチベーションを上げるために、言い方を工夫したり、接し方で気を使ったりしたことなどは一度もなかった。彼らのモチベーションがつねに高かったのは、自分で思い描いている理想像と、組織が彼らに求めている人物像とが完全に一致していたからである。
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