
[父]あの東芝が経営危機に陥るなんて、30年前は想像もしなかったな。
[息子]最初は不正会計が問題になったけれど、理由は何だったのだろう。
2015年に東芝の決算処理が適切に行われていないのではないかと、第三者委員会による調査が行われた。調査の結果、08年度から14年度の第3四半期にかけて不正に利益が操作されていたことが明らかになった。恣意的な操作を意図したものではないと経営陣は主張しており、動機は明確になっていない。
本稿では第三者委員会の調査を基に背景を推測してみたい。注目すべきは11年度と12年度の単体の純利益だ。調査委員会の修正内容を見ると、この2年は本来赤字だったものが黒字に操作されている。連結の営業利益でも、実態より利益を上乗せした年はあったが、赤字を黒字にしたという年はない。一連の決算操作の中で、単体であっても赤字を埋めたこの2年は注視すべきだろう。
ではなぜ赤字を回避しようとしたのか。背景には繰延税金資産があるとみられる。繰延税金資産は会計上の費用と税務上の損金との認識期間のズレを調整する会計処理だ。会計上は将来に帰属すべき費用(税金)を前払いしたとして、その分は将来回収できるものとし資産計上する。
もし業績悪化で課税所得が減少したり赤字になったりした場合、繰延税金資産の回収可能性がないと見なされ取り崩しを迫られる。11年度は東日本大震災直後で多くの企業が混乱した。不透明感が強まる中、繰延税金資産の取り崩しを避けるためにも黒字に操作したのではないか。
この記事は有料会員限定です
残り 533文字
