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去る3月10日、ついに韓国の憲法裁判所が大統領弾劾を是とする判断を下した。これで朴槿恵(パククネ)大統領は罷免となり、以後60日以内に新大統領選挙がおこなわれるが、現段階では5月9日になりそうだ。その間の政治的な空白と政権の交代は必至の勢いであり、混迷がいよいよ深まることは疑いない。10日当日にも、弾劾に賛成・反対の両派が憲法裁判所の周辺で大規模な集会を催し、実際に死者まで出ている。
昨年11月、筆者がソウルに滞在していたころ、デモ・集会といえば、「朴槿恵退陣」の叫び一色だった。まだ弾劾の前だったからである。しかし弾劾が可決、朴大統領の職務停止を受け、政権の交代も視野に入ってくると様相は一変した。鳴りを潜めていた保守派が、左派政権の誕生に危機感をいだいて、巻き返しをはじめたからである。左右の対立が俄然、激しくなった。
左派が民主、右派は独裁
朴槿恵に反対する左派は「民主化」を標榜し、暴力には訴えない「名誉革命」を自賛した。そんな左派の圧倒的に優位な情勢は、どうやら変わっていない。右派も対抗するのに必死であり、形勢の挽回には実力行使も辞さない姿勢をみせる。
そこで韓国のメディアは「解放直後」、つまり日本の植民地支配から脱してまもなくの政情になぞらえ、警鐘を鳴らした。右派は戒厳令に訴えてでも、左派政権の成立を阻止しかねない。これでは軍事政権に逆戻りしてしまう、というわけである。
こうみてくると、左派・右派をそれぞれ民主政権と軍事政権とみなすこともできなくはない。韓国では実際、そうとらえる人が少なくなさそうである。左が民主平和主義、右が独裁軍国主義、そんなイメージなのであり、日本の安倍政権を「右傾化」といって嫌悪する構図とあまり変わらない。そしてかれらが日本の左翼を「良心的日本人」というのも、やはり同じ論理なのだろう。
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