緊縮財政を掲げる保守的な政府は帳尻合わせを好み、再分配を望む進歩主義の政府はつねに大盤振る舞いをして財政赤字を増大させる──。これは定説である。ただし実際に政権を掌握すると、誰がツケを払うかを知りながら、優先度の高い政策実行のために借金をしたがるものだ。発足したばかりの米トランプ政権も積極財政を掲げている。今後財政赤字は膨らむだろう。
米国では緊縮財政と積極財政の政権が交代を繰り返してきた。たとえば1980年代のレーガン共和党政権は、野心的な減税のために巨額の財政赤字を許容した。
一方、成功した大統領だと経済学者の大半が評価する民主党のビル・クリントン氏は緊縮財政で財政黒字化を達成した。2000年代初頭のジョージ・W・ブッシュ政権は再び減税に走り、戦争にも踏み切ったことで財政赤字が再び急増した。
政権交代に伴ってこのように赤字が急増することは防げるのか。米英のような成熟した民主主義国家では、債務の増加に苦しめられた記憶が強いため、政府債務の対GDP(国内総生産)比をなるべく抑制しようとする力が定期的に働く。
しかし米英においてすら、財政赤字は教科書どおりの景気対策によって生じるわけではない。政権課題のうち何を優先するかという激しい政治的駆け引きの産物なのである。
この記事は有料会員限定です
残り 394文字
