トランプ新大統領が誕生することで注目されるテーマの一つが、今後のFRB(米国連邦準備制度理事会)による金融政策の舵取りだ。
FRBは2015年12月、およそ9年ぶりに0.25%の利上げに踏み切って以来、なかなか利上げを実施できないでいた。ところが、米大統領選挙が決着し「トランプ相場」に火がついた。10月以降1.8%程度で推移していた米国債10年物利回りは2%超に急騰。日本国債の10年物も2カ月ぶりに利回りがプラス圏に浮上した。12月13〜14日に開催されるFOMC(米国連邦公開市場委員会)で1年ぶりの利上げに踏み切るとの観測も高まっている。
機関投資家の間からは、「金利上昇期待が出てきており、米長期金利が2.2%を超えると、一気に2.4%程度までの金利上昇を誘発しかねない」(第一生命保険の川島貴志・専務執行役員)という見方が浮上している。
トランプ大統領が誕生した場合のリスクシナリオとして想定されていた事態とは正反対に、ドル高、株高、債券安(金利上昇)が生じ、金融市場に大きなレジームチェンジが起きたかのようだ。
それ以前の経済論壇では、先進国の長期停滞論が盛んで、低成長やデフレは長期化するとの見通しが一般的だった。その最たる例が、FRBのイエレン議長が10月の講演で提唱した「高圧経済」(High Pressure Economy)という概念だ。
この講演でイエレン議長は、金融危機後の総需要の低迷が潜在的な供給力を押し下げた可能性について言及している。従来は「ヒステリシス」として知られていたもので、1980年代半ばに欧州の労働市場で高い失業率が続いたことが、その後の経済低迷につながったと、イエレン議長は指摘している。
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