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政治・経済・投資 #歴史の論理

人民元の国際化から見える中国貨幣の歴史 政府を信用しないから通貨も信用しない中国人

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  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

INDEX

人民元の国際化が話題である。国際通貨基金(IMF)は加盟国に配分する仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」に人民元を10月1日付で加えると宣言した。

人民元は中華人民共和国の建国から始まった通貨なので、人の年齢なら還暦を超えてはいる。けれども、通貨としてはとても若い。日本円ですら、とうに100年を超えている。しかも改革開放から数えれば、40年にも満たない。それが国際的に通用する「主要通貨」になったとすれば、急速な成長である。ニュースで騒がれるのも無理はない。

中国の通貨は、しかしながら奇怪である。今でも金(ゴールド)、しかも現物を最もたくさん買うのは、中国人だそうである。これは反面、人民元が国内で十分に信認されていないことの証しであって、国内の自国民に信用されないのが、外国人に信用され国際化をはじめた。ここに、その奇怪さの一端がかいま見える。

自国通貨を信用しない歴史

そもそも自国の通貨を信用しないのが、中国人の歴史であった。その不信認の歴史は遅くとも15世紀、明代にまでさかのぼることができる。

中国は文明の古い国である。貨幣経済ももちろん早くから発達していた。日本で使われた銭も、もともとは中国の発明である。中国が使った銭そのものも、おびただしく日本にも入ってきた。ことに宋銭や永楽銭は有名である。その永楽銭の「永楽」は、ほかならぬ明朝の年号・皇帝であった。

明朝政府さえも、通貨は発行していた。銭と宝鈔(ほうしょう)、つまり少額硬貨と紙幣なので、現代の日本と同じ感覚である。しかしわれわれは安心してモノが売り買いできるのに対し、当時の中国人民はそうはいかなかった。政府権力が通貨管理をしなかった、否、しようとしたけれども、拙劣で失敗したからである。

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