INDEX
中国の海洋進出が続いている。尖閣問題を抱える日本も、もちろん当事国の一つにほかならない。そのため、今年7月12日、オランダ・ハーグの仲裁裁判所が最終的な判断を発表したというニュースは、日本でも大きく報じられた。
中国が南シナ海の管轄権を主張するのに対し、それを国際法違反だとフィリピンが申し立てた争いのことである。仲裁裁判所は、中国の主張に「法的な根拠はない」と断じた。いたく反発した中国は、裁判を「茶番」、判断を「紙くず」とまでののしり、日米をその黒幕だと批判した。常軌を逸した観もある中国の出方は、しかし想定内といえばいえるものである。
それなら、当のフィリピンはどうかといえば、逆に言動がいささか解しがたい。新たに就任したドゥテルテ大統領が反米発言を繰り返し、同盟国の米国を困惑させている。中国はそこに付け込む間隙を見いだしたか、10月下旬の習近平・ドゥテルテ会談で、多額の援助を約束した。一方、大統領は、仲裁裁判に触れないままで、「米国と決別する」とまで発言し、いたく習近平主席を喜ばせたのである。
一方的な論理では通用しない
そのドゥテルテ大統領、次いで日本にやってきて、「日本の側に立つ」と明言した。根っからの親日家ぶりを披露し、日本の援助・投資に強い期待をにじませている。中国・米国に対する態度を見て、日本人の多くは不安に感じていたから、ひとまず安堵した。けれども、やはり戸惑いを隠せない。
日本は米国と同盟関係で、中国とは仲が悪い。フィリピンは米国と険悪、中国とは友好的になった。となれば、日本とフィリピンの関係も悪化する、と考えるのが日本人の論理である。確かに、上述の経緯だけで考えるなら、それは正しい。
この記事は有料会員限定です
残り 682文字
