外国の映画俳優ですぐ名を思い出せない人が何人もいる。サム・シェパード、エド・ハリス、ロバート・デュヴァル、マイケル・ケイン、ベン・ジョンソン、ドナルド・サザーランド、デニス・ホッパー、イーサン・ホーク、トミー・リー・ジョーンズ、ジュリアン・ムーアなどだ。
先日の朝、ジュリアン・ムーア主演の『アリスのままで』という映画を放送していた。ムーアが若年(といっても50歳)でアルツハイマー病になるストーリーだ。この映画でムーアは2015年のアカデミー賞主演女優賞をもらった。
ところが先日見ているかぎり、どうしてもジュリアン・ムーアの名が思い出せない。「ほら、ジョディ・フォスターが演じた『羊たちの沈黙』の続編で、FBIの女性捜査官を演じた人だよ。ほかにもけっこうポルノっぽい役をやってるよ」と、しきりに自分をたきつけるのだが、どうしても思い出せない。結局本編が終わってクレジットが出てようやく、ああそうだった、と確認した。
若年性アルツハイマー病については、随分前に韓国映画で『私の頭の中の消しゴム』というのがあった。ネーミングのうまさに感心した記憶がある。
ムーアの『アリスのままで』でハッとしたシーンを発見した。それはやがて忘れるであろう日を予測して、大事なことを忘れないうちに、注意事項を述べる自身の姿をビデオに撮り、忘れる日が近づいたとき、自分でそのビデオを見る、という場面だ。この映画は何度も見ているのに、今まで見過ごしていた。ほかのことを考えながら身にしみて見ていなかったらしい。
自分に訪れる悲劇を予測して、「そのときはこう対応するのよ」(実は睡眠薬を飲んで寝てしまえ、という助言なのだが)という、悲劇をそのまま受け入れる人間の悲しさが、ひしひしと伝わってくる。しっかりと覚えていたときの自分の姿を、そのことを忘れてしまった自分が向き合って見つめるシーンは、かなりショックだった。
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