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ライフ #生涯現役の人生学

深夜テレビの主人公と孤独を共有する秋の夜 『警察署長ジェッシイ・ストーン』が懐かしい

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けふつくづくと眺むれば、悲(かなしみ)の色口(いろくち)にあり。たれもつらくはあたらぬを、なぜに心の悲める。(オイゲン・クロアサン 上田敏訳)

秋が深まるとよく唇に乗せる詩だ。私は詩というのは、短くて暗唱できるもので、特に酒を飲んだ後、路上で口ずさめるのが好きだ。この詩では“たれもつらくはあたらぬを”というところが特に好きだ。

こういう不条理なやるせない思いをさせるのが秋なのだろう。ただ私は最後の詩句を“なぜに”ではなく、“などて”と暗記していた。だから酔って街を歩くときは、「などて心の悲める」と唱えている。そのほうが“らしい”からだ。

この詩のムードをピッタリ醸し出しているテレビ映画がある。『警察署長ジェッシイ・ストーン』というシリーズで、長さは1時間30分ほど。主人公はトム・セレックが演じる契約署長。海に注ぐ川に架かった長い橋の、向こう側に建つ一軒家に住んでいる。独身。しかしかなりの年齢。犬を1頭飼っている。犬はかつて殺人現場で主人が殺されたとき、脇にいて目撃した。事件はおミヤ(迷宮)入り。誰もが「あの犬が話せたら」と言う。以来、犬は誰にも懐かないし餌も食べない。安楽死させられる直前に署長がもらい受ける。署長に従って橋を渡って一軒家に行く。署長はいろいろなドッグフードを出すが、見向きもしない。家でいちばん高価なじゅうたんの上に寝そべって、じっと署長を凝視している。その視線の奥が深い。まるで哲学者だ。気になって「何を見てるンだ」と聞くが、もちろん答えはない。やがて署長は犬の好物はミートソースであることを知る。以来、レストランで食事の帰りに客の食べ残しや、テイクアウトでミートソースを持ち帰る。犬はありがとうでもなく、静かにマイペースで食べ尽くす。

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