アーノルド・パーマーは、とてもチャーミングなヒーローだったと思う。
「ゴー・フォー・ブレーク!」……当たって砕けろ!というのが、彼のゴルフだ。攻撃的なゴルフは、時として大きな代償を支払うことになるけれど、彼は決してひるむことなく、つねに冒険し続けたのである。いくつものピンチを脱出し、勝利がもたらされた。また、その冒険が、時には無謀な危険となって、いくつもの惨敗を喫したことも確かである。マスターズで4回優勝した中で、逆転優勝でなかった大会は、1回あるかないかである。また、数回逆転負けもしている。
1966年の全米オープンでは、最終日、前半を終えた時点で2位のビリー・キャスパーと7打差あったにもかかわらず、18番ホールにたどり着いたときには追いつかれてしまった。翌日のプレーオフにも敗れてしまったのである。それでも「攻撃のゴルフ」を捨てなかった。よくいわれることだが、彼は、林の中に入ってしまったボールをグリーンに向かって打とうとする場合、ボール1個分のすき間があれば絶対に狙うというのだ。もちろんトラブルショットをリカバリーする技術は、天下一品だった。
たぐいまれなカリスマ性を持っていた。米国の好青年的なマスク。その笑顔があどけなく、セックスアピールさえ感じられて、女性たちのあこがれの的になった。しかも、いつも無謀とも思える場面でも果敢に攻めていく潔さ。実は、そのために何度も優勝を逃していたのだけれど、その落胆の表情が、これも魅力の一つになってしまったのである。それはちょうど長嶋茂雄が三振しても絵になるといわれるのと似ていた。
この記事は有料会員限定です
残り 452文字
