年初来、円高傾向が続いている。5月16日現在、円は主要通貨の中で最強であり、最も弱い英ポンドに対して11%、3番目に弱い米ドルに対して9%上昇している。
国際収支のフローを見ると、円高の背景の一端がうかがえる。日本の1〜3月期の経常黒字額は5.9兆円で、円安が続いた2012〜14年各年の通年の経常黒字額より大きくなっている。
本邦投資家は4月、外国株を1.0兆円売り越している。国内投資家が外国株を売り越すのは14年11月以来1年半ぶりだ。外国株の売り主体は投資信託で、0.8兆円の売り越し。統計がさかのぼれる05年以降最大の額だ。
国内投資家による外国債券投資も、かなりの勢いで行われている。今年2〜4月の3カ月間で、外債を9.4兆円も買い越した。ただ、そのうち6.9兆円は銀行と生命保険会社によるもので、ほとんどが為替リスクを取らない投資だ。円売りにはつながっていないと考えられる。生保に限れば、外債買越額は3.4兆円に上り、これも統計がさかのぼれる05年以来、最大となっている。
銀行や生保がこれだけ多額の外債投資を行い始めたのは、今年1月29日の日本銀行のマイナス金利導入決定が背景にあるようだ。日本国債利回りは、10年物がマイナス圏に落ち込み、30年物も0.3%台まで急落。まともにリターンを稼げる国債がなくなり、銀行や生保は外債に目を向け始めている。
これだけ見れば、まさに日銀が狙ったとおりのポートフォリオリバランス(投資配分比率の再調整)が起きているように見えるが、これらの投資はほとんどが為替ヘッジ付きの外債投資だと考えられる。日本国債に投資をしているのとほぼ同じリスク量でより高いリターンを稼げる可能性があり、すなわち、日本国債投資の代替となっているといえる。
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