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説明者に必要な“風度" 生涯学習で信頼されるオーラを身につけよ

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論語に「子曰(いわ)く、民はこれに由(よ)らしむべし、これを知らしむべからず」という言葉がある。政治に結び付けると「人民は従わせておけばよく、その理由を説明する必要はない」と解釈された。その非民主性が問われ、特に後半は「情報公開の必要なし」と解されて、削除してしまった辞書もある。

しかし論語の解説書では「人民を従わせることは易しいが、その政令の趣旨を理解させることは難しい」と説いている学者が多い。私はこの解釈に共感し、さらに「趣旨を」の後に「全員に」という言葉を加えている。

政府が課題について「懇切丁寧に説明する」と口癖のように言っているのも、同じ悩みを持つからだろう。

江戸時代、幕府の教育機関は大学頭・林家の私塾、昌平坂学問所だった。林家はこの私塾を幕府直轄(国立)にしたくてしばしば願い出た。この嘆願が8代将軍・吉宗のところまで行った。吉宗は聞いた。「聴講者はどのくらいいるのだ?」「1日に5人から8人でございます」「少ないな、なぜだ」「学問の大切さをわきまえないからでございます。上様から幕臣と大名に、学問をせよとお命じになっていただきとうございます」「バカな。わしはそんなことはせぬ」。首を横に振った吉宗はこう言った。

「教え方が悪いのだ。何をという内容ばかり講義して、いかに伝えるかという伝え方の工夫・努力を欠いているから、講義が面白くない。塾に行かなくてもわしにはわかる」。痛烈な学者(教育者)批判だった。昌平坂学問所の国立化は流れた。後に寛政時代になって老中・松平定信(吉宗の孫)により、幕府直轄になる。

私は長年、茨城県つくば市にある文部科学省の「教員研修センター」の講師を務めている。全国の公立学校の校長さんや副校長さんが対象で、「歴史に見る教育者」がテーマだ。私は決まってお願いをする。

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