4月14〜15日にワシントンで開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出立する前、麻生太郎財務相は「偏った動きを抑制するために必要な措置を取ることはG20合意内」と発言し、円売り介入の可能性をにおわせながら円高を強く牽制した。
だが現在、介入が現実的な選択肢とは思えない。5月の伊勢志摩サミットでG7の経済政策の議論をリードする意欲を示している安倍晋三首相が、通貨戦争は回避すべきとの考えを示している。
そのうえ、11月の米大統領選挙後まで米国議会がTPP(環太平洋経済連携協定)法案を成立させる可能性が低い中、日本の通貨政策の発動は米政界・産業界のTPPへの攻撃的な姿勢を助長しかねない(いわば、国益を損ないかねない)からだ。
また歴史的な低金利環境下で日本の投資家の外貨投資ニーズが膨らむ中、政策的に円高を止めることは、投資家が低いコストで外貨投資を行う機会を奪うことにもなりかねない。円売り介入には極めて慎重な判断が求められる。
足元の円高の背景をひもとくと、これは2014年後半からの米ドル高に起因する。そのドル高が米国経済や株式市場の負担となったほか、基本的に米ドルにリンクする人民元の上昇を招き、中国経済も失速させた。
資源相場の一段の停滞にもつながり、ブラジルなど資源セクターの依存度が高い新興国を窮地に追い込んだ。そして資源国・新興国の通貨安がさらなる米ドル高を引き起こす悪循環に陥った。その中で今、リスク回避的な円高が発生している。
この記事は有料会員限定です
残り 429文字
