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デフレ脱却策の落とし穴 日本銀行の金融緩和では限界

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  • 内田 稔 三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト

2012年12月の衆議院議員総選挙に際して自民党が作成した重点政策集「日本を、取り戻す。」には「デフレ・円高対策」として明確な物価目標の設定や、達成に向けた政府・日本銀行間の連携強化、大胆な金融緩和の実施が明記された。デフレと円高を併記しているとおり、安倍晋三政権のデフレ脱却の柱の一つは大胆な金融緩和による円高の是正にある。

金融緩和強化によるデフレ脱却は、経済政策面でのブレーン・浜田宏一内閣官房参与が主張してきたことだ。この金融緩和を大胆に実行する日銀総裁には、為替市場を熟知した元財務官の黒田東彦氏が就任。実践に際しては岩田規久男副総裁の主張がそのまま採用されている。すなわち、日銀がインフレ目標を設定し、その達成を強くコミット。そのうえで、マネタリーベース(日銀が供給する通貨)を増やせば、予想インフレ率が上昇(予想実質金利が低下)し、雇用や所得が増加。経済成長の加速とデフレ脱却が実現するというものだ。

こうして物価上昇率「2年で2%」という明解なキャッチフレーズとともに、量的質的金融緩和が始まった。この間、1㌦=80円割れで低迷していたドル円相場は15年6月にかけて125.86円まで上昇、日経平均株価も2万1000円に迫る場面が見られた。日本企業の経常利益も20兆円を突破するなど過去最高を記録し、失業率3.2%は19年ぶりの低水準となった。生鮮食品を除いた消費者物価指数の伸びは消費税率引き上げ前に前年比プラス1.3%まで上昇するなど、デフレ脱却への取り組みは功を奏したように映った。

円安と株高の立役者として、幅広い海外投資家の存在も忘れてはならない。彼らは日本のデフレ脱却の可能性に着目し、対日株式投資を活発化し、物価上昇による円安を見込んだ円売りヘッジも実施した。このため株高と円安の同時相関性は高まった。

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