有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #経済を見る眼

外国人受け入れの国民的議論を 労働力不足の程度については入念に検証を

3分で読める 有料会員限定
  • 太田 聰一 慶応義塾大学経済学部教授
【今週の眼】太田聰一 慶応義塾大学経済学部教授
おおた・そういち●1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

2014年10月末に日本で働く外国人の総数は78.8万人だった。これは、日本で働く人の1%強を構成する。この比率はほかの先進諸国よりも低いが、それは日本が就労目的での外国人の在留を厳しく規制してきたからである。具体的には、いわゆる専門的・技術的分野を担う高度人材に受け入れ対象を絞ってきた。それ以外の比較的単純な仕事には、就労に制限のない日系人あるいは外国人技能実習生が就く程度であった。日本が単純労働者の受け入れに消極的であったことは、結果的に製造業部門での技術開発を促進するとともに技能労働者の雇用を維持する役割を果たしたと考えている。

そうした状況に対して、安倍内閣は、外国人労働力の活用を経済戦略の一つとして打ち出している。まず、新たに介護の在留資格を創設し、日本で介護士資格を取得した留学生に就労を認める。同時に、従来の外国人技能実習制度の中に介護職を含めることが検討されている。

この背景には、日本で介護を担う人材の長期的な不足が見込まれることがある。ただ、介護人材不足への切り札となるほど外国人が来日してくれるかどうかは明らかではない。たとえば、08年以降の経済連携協定の介護士候補者受け入れ時には、日本語能力の壁が付きまとった。受け入れた外国人が現場に適応するには、そうとう入念に受け入れ体制を構築する必要がある。ただ、筆者は、人手不足が長期的に確実視されている職種に絞った形で外国人に在留資格を付与することは理にかなっていると考える。

介護職以外についても、外国人技能実習制度に基づく研修生の受け入れ体制は見直される方向だ。現在、技能実習生は農業、建設業、製造業といった幅広い業種で実習を受け、同時に労働力を提供している。しかし、賃金未払いや長時間労働などの問題が生じたため、今回はそうした問題が生じない仕組みを整え、対象職種の拡大、技能実習期間の延長、受け入れ枠の拡大を目指している。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数