参議院選挙を来夏に控え、安倍改造内閣は、「地方創生」を引き続き重要政策として挙げる。「まち・ひと・しごと創生基本方針2015──ローカル・アベノミクスの実現に向けて」では、「高齢者の地方移住の選択肢を支援していく」と掲げた。
しかし、この移住政策には批判が多い。「高齢者移動の現状とその理由などから考えると、今後、地方移住の大きな流れが生じることは期待できない。無理に政策対応をすると歪みが生じる」と指摘するのは、日本総合研究所の藤波匠上席主任研究員だ。
政府は、移住を希望する高齢者が多い、という意向調査結果をこの政策の根拠としている。しかし、実際の人口対比の転出率を見ると図1のとおり。20歳代は県外転出・県内他市町村転出ともに5~7%に達するが、60歳以上は大半の年齢層が0.3~0.6%。しかも転居者に占める県外転出者の比率は50歳を超えると低下の一途をたどる。つまり、高齢になると、県外へ移住する人が極端に少なくなるというのが現実なのだ。
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そもそも政府の意向調査とその結論づけに疑問がある。
まず、同種の調査結果よりも移住希望が高めに出ているのだ。政府の調査は2014年8月、東京都在住の男女1200人へ行ったもので、「東京在住者の40.7%が地方への移住を検討している、または今後検討したいと考えている」と結論づけている。しかし、インテージリサーチによる「1万人の移住意向調査」(15年3月実施)では、東京圏在住者3153人のうち地方への移住意向のある人は11.0%にとどまる。
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