運用額が10兆円を超えるマクロ(マルチストラテジー)型ヘッジファンドのCIO(最高投資責任者)を中心に複数のヘッジファンドの運用担当者から、現況の荒れ相場と今後の見通しについて話を聞いた。以下にご紹介したい。
話題になったのが、リスクパリティ戦略(投資リスクが均等になるように相関の低い資産に分散)を取るファンド勢の売り。テールリスク回避目的の投資家の資金を、4月以降10兆円単位で集めていた。そのため、8月の金融市場の混乱で株式ポジションの圧縮と、株式投資と同等のリスクを取るべく膨らませていた債券レバレッジの圧縮を迫られたという。
また、HFT(高頻度トレーダー)の運用手法は、自分たちのリスクを最小化するため、他の投資家に注文板を見せて売りを呼び、リスクを転嫁する傾向があり、彼らが市場から資金を引き揚げる場合には、多数の投資家に被害が及ぶといわれている。
中国経済の大転換と米国の利上げをきっかけに、ヘッジファンドはこれまでのバブル相場に終止符を打ち、新しく質のより高い相場に転換しようとしている。過去にもこうしたフェーズでは経済ファンダメンタルズの悪材料を基に資金を引き揚げて相場を暴落させるといった動きが繰り返されてきた。
世界規模のバブル相場が終息するときの「売りの口実」リストは、歴史的に毎回ほとんど同じで、(1)過剰債務の存在、(2)金融政策への不信、(3)デフレに陥る懸念、(4)企業業績の偽装疑惑、(5)不動産暴落リスク、(6)新興国通貨の続落だ。これら6項目の多くが現実と合致しない場合は、株式市場は弱気に転換せず、安定を回復する。
中国経済で特に懸念されるリスクは、まず、3兆ドルある地方債務問題だ。地方政府の出資企業に優遇税制を適用したり、歳入に見合わないインフラ投資を行ったりした帰結であり、地方予算の配分の誤りを正すことが中国の最重要課題であることは確かだ。
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