昨年来、日本経済の牽引役として期待されてきた企業の設備投資だが、なかなか加速感が出ない。9月10日に発表された7月分の機械受注でも、設備投資の先行指標といわれているコア機械受注(船舶・電力を除く民需)の額が前月より3.6%の減少となった。実額では8056億円と、昨年11月以来の低水準にとどまった。これを受けて内閣府は基調判断を「持ち直している」から「持ち直しの動きに足踏みが見られる」に変更した。
野村証券では9月8日時点で、2015年度のGDP(国内総生産)成長率を1.2%、16年度は1.9%と見込んでいるが、このうち民間企業設備投資の伸び率を15年度2.7%、16年度4.8%と予想しており、日本経済を牽引する形となっている。民間設備投資の伸び悩みは、市場参加者の多くが前提としている、「今後の安定した景気回復」というシナリオを覆しかねない。
設備投資不調の要因として、輸出の低迷や、消費の落ち込みといった需要面での問題があるが、ここでは、設備投資の出し手ともいえる企業側から設備投資行動を考えてみた。
なぜ設備投資が不振?
図1は日本企業のROIC(投下資本収益率)の推移である。ROICにはいろいろなとらえ方があろうが、一般的には「企業が事業活動のために投じた資本からどれだけの利益を出したか」、すなわち企業側から見た設備投資という行為の「うまみ」といってよいだろう。ROICが資本調達コストを上回っていれば企業にとっては投資が「おいしい」行為となるわけだ。
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このROICは1990年代中盤まで下降トレンドにあったが、その後、上昇軌道に転じていることがわかる。上昇に転じた理由は、その時期が、金融機関が持ち合い株を放出し、代わって年金など物言う投資家が増加し始めた頃と重なるため、ガバナンスの変化により企業が「うまみ」のない投資を控えるようになったことが考えられる。
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