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エリザベス女王への謁見 「東京都の広報責任者」を指定した英国

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エリザベス女王に謁見したことがある。東京都の広報室長の頃だった。職員が「室長、すぐ赤坂の迎賓館に行ってください」と言う。「何で?」と聞くと「エリザベス女王への謁見です」。

女王夫妻が日本に来られたことは知っていた。しかしなぜ私が行くのかわからない。「歓迎なら知事が行けばいいだろう。何もしがねえオレが行くことはねえだろ」「知事じゃダメなんです、室長じゃないと」「どうして」「向こう(イギリス)の指定が、東京都の広報責任者ってことなんですよ」「変な指定をしてきやがったな」。光栄ではあったが私は渋った。

当時の広報室は都庁の中で“中2階”と言われていた。仕事の内容が内部的にもよく理解されず、属している職員も正規職員から見ればどこか崩れた気風があり、幕末に高杉晋作が組織した長州奇兵隊のような存在だった。法律一辺倒の職員から見れば“やくざ集団”のように見えたかもしれない。

室長はその親分だ。したがって私も服装は議会のとき以外はネクタイはしない。カラーシャツかタートルネックだ。その日もそういう格好をしていた。係長たち(広報の仕事の真の担い手はこの層だ)が、寄ってたかって私の礼装を調えてくれた。自分たちが着ていた上着・ズボン・Yシャツ・ネクタイなどを提供してくれた。時間も指定されているので、大急ぎで車で迎賓館に行った。

車中でイギリス側がなぜ「東京都の広報責任者」を指定したのかを考えた。おそらく“PR(パブリックリレーションズ。日本語にすると公衆関係。意味不明)”の趣旨にのっとってのことなのだろう。情報やスパイを重視する国柄だ。『第三の男』などで有名なグレアム・グリーンは好きな作家だし、映画『007』シリーズのファンでもある。

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