小学生の頃、夏休みの宿題が好きだった。ただし毎日の日記は「その日の天気」欄の記入で苦しんだ。毎日記入しないからだ。これは後日図書館に行って新聞のつづりを利用して処理した。好きだった宿題というのは、工作品の製作である。これはパテントといっていい私なりの創造性が込められていた。
・大きな箱(紙、場合によっては木)を用意する
・かなりの量の古い新聞を用意し、これを大鍋で煮る。溶ける寸前まで煮て火から下ろして水をかける・半ば粘体化した新聞を鍋からすくい、手でもむ。粘土状になる
・用意した里(山、川、野など)の図面にしたがって、新聞の粘土を箱の中に割り付ける
・里の風景ができると日なたで乾かす。粘土はカラカラに干上がる。色は白に近い灰色だ。山、川、野、田などに絵具で着色する。
普通ならこれで終わりだ。私はこの里にさらに虫を加える。事前に捕まえたトンボやセミを里に配置するのだ。私は虫取りの達人で、セミは多摩川の台地で網を使わずに手で捕まえる。この台地にはニーニーゼミだけでなく、アブラゼミ、オーシーツクツク、ヒグラシなど種類が豊富だ。
トンボは夕暮れどき、西の空へ帰るギンチャンヤンマなどの大物を捕らえる。道具は小さな赤い布で極小の石を包んだものを用意する。トンボが来るのを待って、その面前にこの仕掛けを投げ上げる。糸の真ん中に指を入れて宙に飛ばすのだ。
トンボは赤い包みを虫と勘違いして飛びつく。が、糸に絡まれて飛べなくなり、地上に落下する。この方法だとトリモチと違って、羽も胴体も自然のままに捕獲できる。
捕らえたトンボやセミは、文具店などで買った液を注入し、そのまま保存できる。これを新聞の粘土で作った里の林や山などに配置する。それぞれの適地に虫ピンを刺して留める。同級生もだが、それ以上に担任の教師が「今年はどんなものを作ってくるのか」と楽しみにしていた。宿題の優秀作品には金と銀の付箋が付けられて展示される。毎年どちらかの付箋をもらった。
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