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ライフ #生涯現役の人生学

今も役立つ氏郷の発想 部下思いの管理職の理想像

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経団連の配慮もあって、来年度採用社員の面接が2カ月前倒しになった。テレビの画面に映る応募学生と面接者、世話をする企業の社員たちの表情も明るく親切で、和気あいあいの雰囲気が伝わってくる。その限りにおいては関係者たちの心組みに偽りはない。皆誠実にそれぞれの立場で努力している。

採用された学生は来年4月に社長の歓迎のあいさつを受ける。どこも大体同じ内容で「失敗を恐れずに仕事をしてほしい」というあいさつが多い。私は社長の真意を、新社員よりもむしろ新人を迎える現社員たち、特に管理職への要望を語っているもの、と受け止めている。つまり「新人が思い切って仕事ができるような、状況条件を先輩上司が整えてほしい」という意味だ。

蒲生(がもう)氏郷(うじさと)は近江日野城(滋賀県日野町)の主で、少年時代は織田信長の人質だった。信長から、大名にも経営感覚とそろばん勘定が大切と教えられた。人間管理に温かい発想をし、“人使いの達人”といわれた。

有名な言葉に「知行(給与)と情とは車の両輪、鳥の両翼なり」というのがある。部下に対しては給与をいくら多くしても愛情がなければ効果がないし、愛情がいくら深くても給与を増やさなければ、これもまた部下のモラール(士気)は高まらない、という意味である。

ところが彼が城主になった日野は6万石の領地で、功臣へのベースアップもボーナスも思うように与えられない。仕方なく彼は休日に功臣を呼んで、自らまきを組み、火吹き竹を使い、風呂を立ててねぎらった。

やがて会津(福島県)で90万石の大禄を得たとき、彼は全部下に告げた。「今まで立てた功績は、これくらいの知行に値するという給与額をそれぞれ書いて出せ」。補償できなかった武功と、それに見合う給付額を自己申告しろというのだ。部下は喜び、一斉に申告した。集計すると200万石ぐらいになってしまった。

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