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大分の世界農業遺産と思い出す男 今も心に生きる存在

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「世界農業遺産」というのがある。「世界遺産」(遺跡、自然、歴史的建造物などのいわゆるモノ・不動産)はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が認定する。これに対し農業遺産は、(1)地域の自然に寄り添った合理的かつ歴史的な農業、(2)儀式や芸能など農業に付随した特徴的な文化、(3)農業と豊かな生態系の両立、(4)それらが織り成す美しい景観、などを条件とする。認定はFAO(国連食糧農業機関)が行う。

大分県国東(くにさき)半島の宇佐地域がこれらの要件を満たすとして遺産に認定された。記念行事の一つとして「歴史を生かすまちづくり」というテーマで宇佐市から講演依頼を受け、出掛けた。

私の“まちづくり”に対する要件は基調として、(1)平和に暮らせること、(2)豊かに(経済面だけでなく安心・安全に)暮らせること、(3)平等(差別がない)に暮らせること、(4)正しく(社会正義が確立している)暮らせること、(5)自己向上(生涯学習)できること、(6)他地域と活発に交流できること、を共通項としている。それに加えて地域が創造した“その地域らしさを示すCI(コミュニティアイデンティティ)”を重視する。そのCI創造に歴史を活用しようというのである。

だから宇佐市の場合は「世界農業遺産」の指定が誇るべきCIだから、私の考える宇佐の歴史的特性は何かということが話の骨子になる。これについて詳述は避けるが(90分にもわたってしゃべったので)、要は宇佐神宮を中心とするこの地方の強固な自治を中央政権も決して無視できなかったということを例証した。

だからこそ称徳天皇の道鏡事件が起こり、神意を伺うために和気清麻呂が宇佐八幡宮に派遣された。宇佐八幡宮の分霊は公家社会においては京都の石清水に、武家社会においては鎌倉の鶴岡に行われ、いずれも強い力を持った。全国に八幡様と呼ばれる郷土社は数万ある。その源はすべて宇佐八幡宮だ。「単に宗教によるものではなく、そこまで中央政治に影響を与えた、当時の国東地域の自治力(大陸や半島との交流も含まれる)の強さと、支えた民衆のチエと努力を再評価すべきだ」と話した。

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