衆議院の憲法審査会で、与党推薦の参考人を含む憲法学者が安全保障関連法案を違憲と指摘したことにより、安保法制をめぐる論議にライトが当たりだした。
大きく二つの論点がある。一つは戦略論。賛成派の意見は、日本の安保の基軸は日米安全保障条約であり、中国の脅威が増してきた今、日米の絆を強化するためには集団的自衛権を認めたほうがいい、ということだろう。
反対派の声は長谷部恭男・早大教授の、「安保環境が深刻と言うなら、限られた防衛資源を世界中に拡散するのは愚の骨頂」(6月16日付朝日新聞)という発言に代表されるだろう。ここは思案のしどころであり、その得失を、よくよく議論すべきである。
もう一つは法律論だ。政治家の中には、選挙で選ばれた政治家の判断に委ねるべき、と言う勇ましい御仁もいるが、これは法治の否定であり論外だ。さすがに政府は、集団的自衛権は違憲であるという学者の指摘に対して、「憲法は国の存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは禁じていない」という、砂川事件の最高裁判決(1959年)を持ち出して、集団的自衛権を行使可能とした。
ところが、砂川事件で争われたのは、日米安保条約の合憲性で、集団的自衛権行使の可否ではない。実際、政府は砂川判決を踏まえ、日本の個別的自衛権を認める一方、集団的自衛権は認められないとする72年見解を出している。安保環境の変化により見解が変わるとは考えにくい。
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