韓国語で「大丈夫」を意味する「ケンチャナヨ」という表現がある。「感染しているかもしれないが、ケンチャナヨ」。国全体を覆うそんな意識が事態の悪化を招いているのではないか。
中東呼吸器症候群(MERS)が韓国で猛威を振るっている。6月11日午前時点で死者は9人、感染者は122人に拡大。隔離対象者も3805人まで増えている。今回のケースについて、政府の後手に回った対応と感染者・隔離対象者の認識の甘さが重なった結果、と見る向きは多い。
MERSは2012年に初めて確認され、サウジアラビアやアラブ首長国連邦を中心に感染者が発生した。症状としては、38度を超す熱やせきが続く。世界保健機関(WHO)によると、感染者の死亡率は40%。飛沫や人との接触による感染が多いという。
韓国で感染が拡大するきっかけとなったのは、4~5月にサウジアラビアやバーレーンを旅行した60代の男性だ。文亨杓(ムン ヒヨン ピヨ)・保健福祉相が「管理網があまりにも狭かった」と対策のまずさを認めるほど、政府の初動対応は甘かったと言わざるをえない。
情報公開も適切とはいえない。最初の感染者を確認してから、2週間が経ってようやく、入院している病院名などを公表。その間、事実とは異なる、誤った情報が拡散してしまった。
今月8日には、最初の感染者が入院していた病院から新規の感染者が出ていないことを理由に、「一次感染の終息」を宣言した。が、その後も別の病院で新たな感染者が出ており、死者も増えている。何のための終息宣言だったのか。これだけでも政府の迷走ぶりがわかる。
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