5月28~29日にドイツで開催された7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、麻生太郎財務相が円相場のボラティリティ上昇に絡めて懸念を表明する一コマなどが見られたものの、G7全体として為替、特にドル高に対する問題意識が示されることはなかった。それが実態に照らして正しいか否かはさておき、今回のG7を終えた為替市場では「米国の通貨政策としてドル高はまだ許容可能」というのがコンセンサスになった印象がある。
今後を占ううえで、日米欧の三極がドル高に対しどのような思惑を有しているのかを考えてみたい。
まず、なぜ米国はドル高を容認しているのか。おそらく現状は「容認」しているというよりも「我慢」しているというのが実態に近い。過去1年のドル高は明らかに各通貨とドルとの間にある金融政策格差を反映した動きであり、米為替政策報告書もこの点は認めている。ドル高が自国の金融政策運営に根差している以上、他国の通貨安を批判するにもおのずと限界はある。
一方、日本の通貨政策には、昨年来、「これ以上の円安は困る」という本音がにじみ出ている。6月10日にも黒田東彦日本銀行総裁が衆議院財政金融委員会の席で「ここからさらに円安はありそうにない」と述べたことで円高に振れたばかり。
原油価格に底打ちの兆しが見られる中、さらなる円安は交易条件の悪化を通じて海外への所得流出を加速させ、実質所得面から景気を下押しする不安のほうが大きい。
欧州はどうか。欧州は「通貨は安ければ安いほどよい」という状況であり、あえてG7でドル高ユーロ安に警鐘を鳴らし、「寝た子を起こす」必要はないというのが本音と思われる。世界最大の黒字を誇るユーロ圏の経常収支状況を踏まえれば、米国から欧州への踏み込んだ批判はいつ生じても不思議ではなく、昨年来のドル相場上昇も結局のところはユーロ安が主導してきた印象が強い。図表1のように、2013~14年の円急落の局面でドル相場は大して上昇しなかったが、14~15年のユーロ急落の局面に合わせてドル相場は急騰している。
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