ドルは対円で一気に1ドル=124円台に上昇した。ドル円相場だけに注目するなら、ドル高の材料として、米国景気に対する懸念の後退、年内利上げ観測の再燃、などが挙げられる。
しかしユーロドル相場に目を移せば、ユーロは対ドルで一時1.10ドルを回復するなどユーロ安の流れに歯止めがかかっている。ドル堅調ではあるものの、ドル独歩高とはいいがたく、主要3通貨の値動きだけから見れば円独歩安、ないしドル高・ユーロ高・円安、ということになる。
こうした値動きの背景にはいくつかの要因があるが、さまざまなポジション調整が一巡した後に、投機的な円売りが人気を集め、活発化したことが大きい。
4月以降、米国の景気先行き懸念、利上げ観測とドル金利先高感の後退がドル買いポジションの解消、全般的なドル売りをもたらした。ただ円については一足先に買い戻しが進んでいたために、ドルは対円では底堅く推移し119円割れから、さらに円高が進むことはなかった。そうして足場が固まった状態で、円売り余地の膨らんでいたことが、結果的にドルが対円で年初来高値を更新するエネルギーとなった。
そこに火をつけたのがユーロ安の一服だろう。ユーロ売りポジションが大きく積み上がったところに、欧州経済のデフレ懸念の後退、ギリシャ問題の織り込みなど、さらにユーロ売りを進めにくい材料が重なった。その状況の下でドル金利先高感の回復とともに、市場は再びドル買いに傾き始めた。そこで、どの通貨を相手にドル買いを進めるかが重要になる。それはどの通貨が下落しやすいか、ということにほかならない。
ユーロはなおも投機的な売りポジションが積み上がったままで、買い戻しによる上昇リスクが大きい。一方、円は投機的な売りがほぼ解消していたことから、そのようなリスクは少ない。日本銀行が追加緩和に動かないことも織り込み済みだ。ユーロと円、どちらを売るか、という問いの答えが円売りとなったということではないか。5月26日時点のシカゴ通貨先物市場における投機的なポジションは、円売りがネットで6万2000枚の売り越しと急増(図表1)。そうした中、ユーロ円相場は堅調に推移している。
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