FRB(米国連邦準備制度理事会)のイエレン議長は5月22日に年内に利上げをする方針を示し、市場はようやくこれを織り込んだところだ。
金融政策の正常化へ向けた課題は3段階ある。第一に、最初の利上げの実施、第二に、2回目以降の利上げに関する情報発信、第三に、数回利上げした後、証券への再投資をやめて膨張したFRBのバランスシートの縮小を開始すること。三つ目が、金融市場には最も影響が大きい。債券市場を中央銀行が支えてきた構図が変わるからだ。正常化へ向けたFRBと市場のコミュニケーションは、まだ序の口といえる。
イエレンFRB議長は、最初の利上げを今年9月と考えているだろう。5月に、もう少しデータを見たいとしていた。米国の第1四半期の景気減速は、東海岸の悪天候や西海岸の港湾ストなどによる一時的なもので、第2四半期の経済指標がよいと確認できれば、実施に踏み切る。6月16~17日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の会見、7月の議会証言で、来年の複数回の利上げも、市場にうまく理解させようとするだろう。
2%にこだわるべきでない
日本銀行もECB(欧州中央銀行)も、証券の大規模な購入によるバランスシートの拡大策を当面続けながら、FRBの金融引き締めにぶら下がっている格好だ。米国の景気が強く利上げができ、ドル高になれば基調として円安、ユーロ安が続く。
黒田東彦日銀総裁は6月4日の講演で、「ピーターパンの物語に、『飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう』という言葉があります。大切なことは、前向きな姿勢と確信です」と述べている。「量的・質的緩和」を導入した2013年4月に強い意思表明として、言うのならわかるが、このタイミングでは違和感がある。すでに2年が経過して、インフレ率2%の「物価安定の目標」を達成できていないことからすれば、「量的・質的緩和」の効果と副作用を検証した発言をすべき時期だ。
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