ドル実効為替レート(複数通貨との相対関係を見たドルのレート)が今年3月をピークに反落した原因の一つに、FRB(米国連邦準備制度理事会)が早期に利上げするとの期待が後退したことがある。3月のFOMC(米国連邦公開市場委員会)声明がハト派的と見なされたことなどから米国金利が低下し、米国とドイツの金利差縮小に連動してドル安が進んだ。
だが、4月に入ると米国金利が底を打つ一方、ドイツ金利は低下し続けたため、米独金利差は拡大に転じ、ドル実効為替レートはやや反発した。ドイツ国債の利回り低下(価格上昇)は、ギリシャの支援協議が難航して信用不安が高まったことによる「質への逃避」が主な原因とみられる。
ギリシャが年金などの一部改革で国際債権団に譲歩の姿勢を示したため、支援協議合意への期待も浮上している。合意できれば、ドイツの金利が上昇して米独金利差が縮小し、ユーロ高ドル安要因となる。また、リスクオン(リスクを取る)志向の高まりが円安やドル安の要因になる。
米国では、3月中旬以降の原油価格の反転上昇に沿うように期待インフレ率が上昇し始め、価格下落リスクが増してきた国債を避けてインフレ連動国債を買う動きが強まり、インフレ連動国債利回り(実質金利)が低下。そして、実質金利の低下がドル安に作用してきた。
だが、実質金利の低下は続かないと考えられる。実質金利は期待インフレ率と逆方向に動くケースはあるが、いつもそのように動くわけではない。インフレ連動国債とはいえ、その利回りが大きく低下すれば、買いが後退して利回りが上昇に転じやすい。2011年以降のようにFRBが量的緩和を行っている状況では安心して買い進めることができたが、次の一手に引き締めが予想される状況ではそうはいかない。期待インフレ率が上昇傾向にある中で利上げ期待の後退は収まりつつあるため、実質金利の低下にも歯止めがかかり、名目金利が上昇に転じてドル高要因になることも十分に考えられる。
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