ドル円相場が上値を試すエンジンは、ドル高要因、円安要因、の二つだが、その双方がこのところ弱まっている。
すでに円安要因は後退している。円売りドル買いを増やす貿易収支の赤字幅は、減少しており、需給面での円安圧力は鈍っている。材料面では、日本銀行の追加緩和が円安を促す最大の要因だが、日銀は足元で様子見に徹している。日銀は、当面はインフレ率が低下するものの、今秋から来年にかけてインフレ率が緩やかに上昇すると見ているからだ。となると、量的緩和の強化は、秋以降の景気物価動向が予想よりも弱い動きとなった場合に初めて検討されるはずだ。
さらに、政府・与党が円安志向を弱めているため、追加緩和は実施されないのではないかとの見方も強まっている。政治家は株価動向を気にするが、現状の株高を踏まえれば、追加緩和を促す意欲を欠く。円安によるコスト上昇に対する不満が、地方の経済主体や中小企業に根強いことにも与党は配慮する必要がある。
アベノミクスの参謀といわれる浜田宏一内閣官房参与は、物価目標について「2%は上限であり1%程度でよいのではないか」と述べた。原油価格の低下によってインフレ率が抑制されていることは金融政策の責任ではない、とする。さらにドル円相場についても「購買力平価からは105円が適正で120円はずいぶん円安だ。125円、130円になるとの見方には注意を要する」と述べた。こうした発言は政府・与党が追加緩和やさらなる円安を望んでいないことを示唆している。
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